フラッシュバック
南 さやか

真昼の草原 翼をたたんだ君と
ありふれた恋人同士のように 会話をする
光と戯れ 砂丘から届く風を浴びて
深呼吸する君の 胸の膨らみを見ないように
僕は普通を装う
 ふたりは普通を装う

他人から見たら 一人と長い影だけ
だけど それでもよかった

僕にしか見えない
ほんとうの君の微笑みは物憂げで
どこか 得たいの知れないかなしみに沈んでいた

時間を積んで セピア色に震える翼
触れてもいいかい?
 一番繊細な君に…

たぶん 未来から来た妖精
なのに ずっと前から知ってたみたいに君を
君を抱き寄せる


瞳(め)の奥で 太古の薔薇が咲き乱れる
暗示のような長いキスが始まって
僕の中にフラッシュバックが訪れる

 花に生まれ変わった来世の二人が
 今みたいに 風に揺れて 萌えている…




自由詩 フラッシュバック Copyright 南 さやか 2012-05-17 00:24:18
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