朝 (五月)
nonya
少し大げさに
五月の朝を吸い込んだら
つまらない不純物など
軽々と許せてしまうくらい
気管が心地好くせせらいだ
少し控え目に
五月の朝を吐き出したら
ためらいや秘め事を
うっかり零してしまうくらい
頬が情けなくやわらいだ
五月の朝は油断ならない
ざぶざぶ丸洗いした過去を
未来の物干し竿にかけて
すきっと乾燥できるような
他愛ない妄想を抱かせてくれる
少し大またで
五月の朝を歩き続けたら
自動改札を抜ける頃には
意識の甘皮がほんのりと
緑色に染まっているような気がした
自由詩
朝 (五月)
Copyright
nonya
2012-05-12 10:55:13