残暑見舞い
ゆき

コップに注がれたラムネは
辛すぎて
喉の渇きを癒すことができない
だから、
私はグラスを空にできない。

ベランダの風鈴の音は
錆びていて
私の耳にはとどかない
だから
私のこまくはいつまでも
じっとりと湿っている。

昨夜のお祭りはもう終わったのに
あなたはお面をとってくれない
だから
迷子になってしまった私は
あなたを見つけることができない。


私は夏を終わらせることができない


溶けたバニラアイスの
甘さと生ぬるさだけが
口の中に残る。


自由詩 残暑見舞い Copyright ゆき 2012-05-09 00:18:41
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