小さな手
長押 新

わたしが子供だったころ
誰かと一緒に居たいと願ったのは
寂しさからだった。
今わたしは寂しくはないのに
あなたと一緒にいたいと願っている。

私たちがみんなまだ小さかったころ
もっとたくさん持ちたちと
玩具やお菓子を強請ったものだった。
その中で両手は塞がり毛布を引きずるように日々は過ぎていった。
そしてだれにでもだれかが傍に居て、
自分だけの愛しさや、悲しさがあり、
一つの恋、一つの死、一つの道があった。

そして私は感じている、わたしたちは
寂しさの中に、愛を
生み出すことが許されていると。
愛されていると感じていても寂しいことなどあるのだろうか。
私の両手は欲望を握りしめ
愛を注がれるままに成長し胸が大きく丸みを帯びたのに
声だけは子供のころと変わらず。

とつぜん私は衰退していく、
私は寂しさを感じないままに
愛が芽生えてしまっている、
私の感情が美しい女の声を生み出し
私の体や、小さなままの手が、
掴むべきもののために開かれようとしている!




自由詩 小さな手 Copyright 長押 新 2012-05-05 13:46:58
notebook Home 戻る