ひとり遊び
涙(ルイ)
陽も落ちかけた 誰もいなくなった公園の
ユラユラ揺れるブランコと
置いてけぼりの砂の城
鬼さんこちら 手のなる方へ
鬼さんこちら 手のなる方へ
ひとりぼっちの影ふみ遊び
追いかけても追いかけても
逃げていくばかりの自分の影
鬼さんこちら 手のなる方へ
はやく来て来て 捕まえに
鬼さんこちら 手のなる方へ
手のなる方にはなにがある
西の空には折れそな三日月
ぽつんとひとつ
淋しくなんかないよ
なんて強がりは 二度と口にしません
勝ってうれしいはないちもんめ
負けてくやしいはないちもんめ
あの子がほしい
あの子じゃわからん
相談しましょ
そうしましょ
勝ってうれしいはないちもんめ
負けてくやしいはないちもんめ
あの子はいらない
あの子じゃわからん
相談しましょ
相談 いらない
いらない子はあたしです
かもめかもめ
かごの中のとりは
いつまでたっても出会えない
よあけのばんにつるとかめ
すってんころりんころがって
いたいよいたい
うしろの正面 だれでしょね
うしろの正面 だれでしょね
ケンケンパッパ ケンパッパ
待ちあぐね 待ちくたびれて ケンパッパ
いつの間にやらあたりは夜で
青白い街灯 灯りだす
ユラユラ揺れている影法師
どうか家路を照らしてよ
あたしを待つ場所 照らしてよ
迷子の迷子の仔猫ちゃん
あなたのおうちはどこですか
捨て猫預かり場所ならここですよ
おまわりさんはわらいます
愛してほしいなんて戯言は
もう二度と口にしません
ひとりだから淋しいんじゃなくて
誰とも心を通じ合えないから
いつまでたっても一方通行のまんまだから
淋しくなってしまうのですね
誰かに期待するのは
金輪際止めにします
いつまでたっても来ない誰かを待ち続けるのは
いい加減 疲れてしまいました
私がここに生きていることさえ
きっと忘れられてしまうのでしょう
もう何もかも忘れることにいたしましょう
生まれ落ちた最初から
臨まれずに生まれてしまったことも
憎まれ疎ましがられて生きてきたことも
思えば思うほど胸のあたりが締め付けられて
痛くて苦しくて 息をするのもままならなくなってしまうから
だからもうすべて忘れることにいたしましょう
嫌な記憶まるごと全部全部
燃えるゴミの日に出してしまいましょう
何もかも消えてなくなったら
忘れられたあの唄を口ずさみましょう
忘れられたあたしに
ちょうどいい あの唄を
名前さえも忘れてしまった
あの懐かしいメロディ
もう ひとりぼっちを怖がらずにすむように
もう 淋しさに打ち震えたりしないように
頭上にはいつの間に
折れそな三日月
ぽつんとひとつ