体調不良
……とある蛙

季節の変わり目に窓の外を眺めている。
外は雨 外出

細い両目から差し込む光の筋だけではイメージの光量が足りない。
そのため、頭蓋骨の内側を照らすプラネタリュームは暗く星の光は毛穴ほどの大きさにも見えない。
僕の頭蓋骨の内側は漆黒の闇に近く、何の映像も浮かばないことが度々ある。
両目の窓から外界を見ても、グロテスクな風景、魚の骨のような並木とあまり舗装されていない泥の道が黄色の空に向かって畝って登っている。
その中を疾走する両足が僕にはあったのだが最近両足の付け根が瘤のように膨らんでしまって、足が回転しない。耳から聞こえる音は妙な金属音で別に気に障るほど周波数は高くないのだが、下腹に響き排泄を催させる。

手は随分と赤膨れで斑点様になっていて痺れて動かない。
意識は晴朗だが、気分は最悪だ。
手の届く範囲にあるのはテレビのリモコンと現代詩の死臭。

、リモコンを操って変わり映えのしないお笑い番組、いやお笑い番組ですらない。お笑い芸人が出ている退屈なクイズ番組を惰性で見ている。リモコンを使ってチャンネルを変えてもセットが微妙に違うだけで似たような内容の番組がまた出てくる。でっ、またチャンネルを変えると同じようなクイズ番組が出てくる。何回もチャンネルを変えているうちに一巡してしまった。でっ、持ち回りの似たような司会者と似たような芸人たち、似たようなスタジオ見学者、似たような問題、唯一違うのは繰り返し流されるCMの勝因が異なることと女子アナの顔が微妙に異なることぐらいで、年老いた自分にはとんと区別がつかない。クイズ番組で誰かが得する気配は全くない。芸人がギャラを貰うだけである。全くこっち側には無関係なおふざけ。

ではっと、死臭な詩集に手を出すが、昔見たほど(読んだわけではないと思う)の熱意はなく、やはり退屈で眠くなり、眠気覚ましに線を引っ張ってみた。面白い言葉とか考えさせる言葉とかに線を引いてみようと思った、つもりだったが、線が曲がってしまい奇妙なオブジェになってしまった。詩集を開いた瞬間にページにボールペンを突き刺したからだ。それはそれで素晴らしい時間で読むよりはよほど暇つぶしになった。00000000000000000000000000000000000000

一日の終わりのテレビはスポーツニュースだ。微妙に時間がずれていて、同じことを繰り返し解説してくれる。それはそれで良い睡眠導入剤になる。

いかん。また下腹に痛みが蘇ってきた。今日は酒を飲んでいないはずなのに。


自由詩 体調不良 Copyright ……とある蛙 2012-05-01 16:34:57
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