シガレット
霙小町


 あしたもし  目が覚めなたなら
 この腕がなくなっていたらいい
 あなたばかりを覚える腕が
 憎らしい

 傷だらけのくせに
 健康なの 愛を知っている腕は
 白いだけのこの腕を
 わたしは愛せない

 あしたもし 目が覚めたなら
 この記憶がなくなっていたらいい
 苦いばかりのあなた
 甘い煙の匂いが喉を絞める

 愛に生きてたって
 傷は治る あなたのない日々を糧に
 部屋に残る傲慢な匂いたちは
 とらわれたままのわたし

 あしたもし目が覚めたなら
 そこが世界の死に際だったらいい
 そうしたらあしただけは
 あなたを愛せる
 きっと愛せる




自由詩 シガレット Copyright 霙小町 2012-05-01 02:06:56
notebook Home