ポエム
草野春心



  不器用な今日の夕陽が
  きみの頬を無防備に照らしてる
  絵に映える出来事もなく
  通り一遍の言葉ばかりで、また
  僕たちはサヨナラを示そうとしてる
  駅へと寄せる賑やかな波に
  溢れくる後ろめたさをこっそり流して



  車窓一杯に広がる田園の中に
  ポツリと立ってる案山子みたいに
  風雨に曝されるのは得意じゃなくて
  つめたい影を賢しくよけて
  寂しさの降る夜は、灯りをぶら提げる
  けれど軽やかに笑う風車に憧れ
  時々は心を空に預けてみたくなる



  ずっと前きみに贈った
  一編のポエムのこと、覚えてる?
  何度も書き直したつもりでも
  思い出すのも照れくさくなるような
  でも、あんな風にきみを愛せたら
  今日の夕陽より強く優しく
  きみの頬を朱く染めることができたら





自由詩 ポエム Copyright 草野春心 2012-04-30 23:54:00
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春心恋歌