ウワバミの中の象
そらの珊瑚

ゆるゆると解凍されて泳ぎ出す初夏のひざしに冷凍金魚

てのひらに埋め込まれた鉛筆の種 いつまで待っても芽が出ませんが

捨てました古い日記も捨てましたあとかたもなくみじん切りして

虎猫と眺める空にやる気ないメザシのようなこいのぼり

マジシャンの流れるような手の動き重力さえも手玉にされる

かもめ橋午前零時に猫たちの集会ありますご参加ください

人肌に溶けていくのはわだかまりバターソースにキャラメル添えて

満たされて膨らみきったかなしみを抱えて笑う古い掃除機

アボカドにくるぶしのような種ひとつ ふたつそろえば人間になる

階段をひとつとばしで駆け上がるように恋したいつかの私

散る桜ひとつひとつにメッセージNR NR No Return


短歌 ウワバミの中の象 Copyright そらの珊瑚 2012-04-29 23:04:58
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
夢見る頃を過ぎても(短歌)