自転車でいこう!
そらの珊瑚

上り坂が続く

坂道が
「ごめんね、坂道で」
という

ギアなんてついてない
ママチャリですので
傾斜が上がるたびに
スピードが落ちていく
ペダルが
どんどん重くなる
後悔が
マンガの吹き出しのように
ぽわーん
ぽわーんと
湧いてくる
特売だからと
2ℓのペットボトルを二本も買うんじゃなかった
とか
ハンドルにぶらさげた
トイレットペーパー
軽いからまだいいとしても
確実にガニマタになっている
かっこわるっ
とか
自意識過剰め
誰も見てないよ
とか
帰り道の
苦労を考えないから
毎度毎度
こういう羽目になるんだ
とか
とか

息が上がる
脚の筋肉が悲鳴を上げる
おまけに向かい風
もうへたばるのか
そうなると
変なところで
負けず嫌いの顔が出てくる
足をつくもんか、と
足をついたところで
誰に負けるわけでもないのに
誰と勝負しているのか
いや
おのれに勝つ
などと
言ってみたいだけでしょう

私が
「ごめんね、私で」
という
誰にともなく

坂道が坂道であることを
責めるのはやめよう
私が私であることを
責めるのも、もうやめよう



自由詩 自転車でいこう! Copyright そらの珊瑚 2012-04-18 11:46:07
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