after words
そらの珊瑚

田んぼに水がはられる
ぬるんでいく季節
みずはこべの緑のフレイム
鏡に映るモネの雲
蛙の声はまだしない
蜂の羽音がしない
そういえば鳥の声もしない
人が
何かをしゃべっているのだが
その声が
わたしにには
聴こえない

沈黙の春

「ただちに健康に被害が出るわけではありません」
そのあとに
続く言葉を待っていたが
一年以上たっても
聴こえない
だから
想像してしまうではないか
健康に被害が出るのは十年後?
それとも五十年後?
傷つけられた遺伝子の行方は?
子どもたちの
未来を塗る色は?
子どもたちへ
渡していかねばならない日本は?

空を見上げる
太陽は
今日も威勢よく
水素爆発を繰り返していた
太陽でさえ
それは制御不能ではなかったか



自由詩 after words Copyright そらの珊瑚 2012-04-17 10:36:11
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