虹色ポエム
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嫉妬という言葉を 
あなたは教えてくれた 
無防備に眠る 
あなたが憎らしい 
そっと首に 
両手をかける 
胸の奥で 
ちろちろと燃える炎 
このまま力をいれたら 
あなたはどうする? 
触れる指先に 
灯るマニキュアは 



   *


夕方五時のチャイムが 
空に鳴り響くと 
人恋しいような 
切ないような気持ちになるのは 
なぜだろう 
子供の頃の私が 
おうちに帰ろうと 
囁いている 
西の空が 
少しだけ夕焼け 
見上げていると 
鳥が視界を横切る 
帰ろう帰ろうと 
鳴いている 
沈むのを躊躇う 
夕陽の 



   *


月の光で育つ植物があるという 
夜空に向かって 
高く蔓を伸ばし 
新月の夜に 
魔性の色の花を咲かせると 
風のうわさに聞きました 
でも私はたんぽぽ 
風に吹かれて 
地をはって生きる 
高い空を見上げ 
ささやかに咲き誇れ 
黄色


   *


言葉の迷路に迷い込む 
喋れば喋るほど 
奥深くに迷っていく 
迷路はやがて森になり 
森は 
音もなく育っていくだろう 
もう帰る道も解らない 
取り返しのつかないほど 
森の奥深くまで来てしまった 
いっそここで暮らそうか 
無口になれない 
むせかえるような 
森の 



   *


それは永遠に 
打ちよせられる 
波だった 
水平線の 
そのまたずっと向こうから 
波はくりかえし 
やってくる 
波が生まれる場所はどこだろう 
水平線に問いかけてみる 
答えはない 
波が帰ってくるだけだ 
空と海が 
お互いを受け入れながら 
永遠を相談する 
ふたつの 



   *


眠れないのは 
庭の外に何かがいるから 
息をひそめ 
闇に身を隠している 
私の喉笛に 
いつ噛み付こうかと 
じっと時をまっている 
今日もまた 
私の意図せぬ所で 
人の怒りをかってしまった 
そうして魔物は 
夜に増殖し続ける 
もうすぐ朝が来る 
窓の外は 
少し許された 






熱い情熱もなく 
冷たい無関心もない 
いたって普通 
普通を生きる 
窓を打つ雨 
狭い部屋に守られている 
行きたい場所もないし 
会いたい人はもういない 
傘をさして出かければ 
心の中までずぶぬれだ 
そんな時に出会った 
雨に耐えて咲く 
赤でも青でもない 
あじさいの 






自由詩 虹色ポエム Copyright RT 2012-04-12 18:10:25
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