こぞうこぶし
藤鈴呼

おきあがり こぶしだと 思ってたんだ

起き上がり 小法師 だったんだねぇ
子奉仕でも 胞子でも なかったんだ

拳 とか 辛夷とか 思い浮かべて
握る握力の強さを 感じながら
転んで痛む 肘小僧を 見つめてる

膝小僧って 言うけれど
肘小僧なんて 言わないよって

誰かの 声がして 見つめると
其処には 海が 流れていて

たゆたう 流れに 
身を 任せてる
実は 転がる

何処までも 何時までも
転がる訳には 行かないね
だって 期間限定 なんだもの

写真撮影した時には 真っ赤だった 南天
今は 何点満点の 難点 抱えてる
何度だって 自問自答 重ねるんだ

その内に 赤かった 辛夷の実も
土と 同化して
どうかしていたんだなって 気付くよ

もう一度 眺めた海は 真っ白で
泡が 白いのか
思いが 白いのか
元に戻った気持ちで 見つめてる

青い海を 眺めてる
今度は 二人で

石を 拾ったんだ
何だか 翡翠にも 思えて

階段の隙間に
小ちゃくなって 転がってた

手に取ろうと 思ったけれど
止めたんだ

ここに 居るのが
彼にとっても
一番 良い気が したけど

翌朝 もう一度 海を 眺めて
やっぱり お家に おいでって
招待した

ちょっと 所在なさげに 微笑んで
ちょこなんと 乗っかった 君は
とても 可愛かったよ

学芸員に 調べて 貰おうか
有料サービスで

それとも 君の 出身地も 知らず
隣に 並べて 眺めていようか

今は 迷ってる

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自由詩 こぞうこぶし Copyright 藤鈴呼 2012-04-08 14:47:34
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