九十九里浜
ベンジャミン

今まで積み上げてきたすべて
足したり引いたりの繰り返しの中で
今になって足りないことに気づく

知らぬ間に見うしなってしまった
何か大切なものを
打ち寄せてくる波がさらってゆく

ゴミだらけの砂浜で
あおむけになっている貝殻を
遠くまで飛ばそうとした

太陽と重なった貝殻は
虚しく空にとける

ちょうどそんなふうに
始めから何も無かったかのように
さっきつくった砂の城は
もう白い波の中

見えないところで
失われてゆくいろいろ
その残像を追いかけるように
なくしたものの面影を捜す

けれど

なくしたものが
もう返ってくることがないように
どんなに歩き続けても

百にならない
九十九里浜


自由詩 九十九里浜 Copyright ベンジャミン 2004-12-04 00:56:12
notebook Home 戻る  過去 未来