貝にささやく
殿岡秀秋
薄桃色の貝殻
蓋を開けるまで
固く身を閉じている
指の先がはいらない
貝の根元の
薄い毛を撫でる
息をふきかける
声をかける
唇で吸う
貝から液がもれる
蓋が少し開く
指であける
紅い身が濡れて
波うっている
自由詩
貝にささやく
Copyright
殿岡秀秋
2012-04-01 17:52:44