ふるさと
田園

ふるさと


ボロい屋敷に住んでいた
トイレは暗くきしんでいた
兄弟は男ばかりで遊んでくれず
ふくれっ面の幼年期

母さん亡くなり
通夜をした
皆で囲って語り合う
この家はもう売りに出そう
広い畑もあることだし

今まで管理していた兄が
逝ってしまった癌であった
家は何とか買い手がついたが
ふるさとが無くなり
心に穴が開いた

兄さん兄さんなぜ死んだ
私はあんたにまだ言っていない
「ありがとう」と言っていない
葬式でその顔を見たら
私は心が溢れかえった

旦那が建てたマイホーム
もう築ン十年建っている
私のふるさとはもうこっちか
でもたまに父さん母さん兄さんと
呼びたくなるんだ淋しくて

私には娘と息子ができた
どうか天国で見守ってあげて
私は上手くちょろまかすから



自由詩 ふるさと Copyright 田園 2012-03-30 15:38:09
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