ふるさと
田園
ふるさと
ボロい屋敷に住んでいた
トイレは暗くきしんでいた
兄弟は男ばかりで遊んでくれず
ふくれっ面の幼年期
母さん亡くなり
通夜をした
皆で囲って語り合う
この家はもう売りに出そう
広い畑もあることだし
今まで管理していた兄が
逝ってしまった癌であった
家は何とか買い手がついたが
ふるさとが無くなり
心に穴が開いた
兄さん兄さんなぜ死んだ
私はあんたにまだ言っていない
「ありがとう」と言っていない
葬式でその顔を見たら
私は心が溢れかえった
旦那が建てたマイホーム
もう築ン十年建っている
私のふるさとはもうこっちか
でもたまに父さん母さん兄さんと
呼びたくなるんだ淋しくて
私には娘と息子ができた
どうか天国で見守ってあげて
私は上手くちょろまかすから