遠回り
nonya


ひとつ先のコンビニまで
遠回りする
ガムの味がしなくなるまで
遠回りする

はにかむ放置自転車
居眠りするガードレール
さえずり合う人の影
能天気に踊る前髪

温んだ街の喧騒が緩やかに
遠回りする
あてどない足音がくぐもって
遠回りする

足りないものばかり
数えていた季節は
丹念に済し崩しにされて
花信風が背中を押す

アナログ時計の長針を
遠回りさせて
答えを導くための演算を
遠回りさせて

まといつく光の布を
掻き分けながら漂う
見覚えのある路地を
色を探しながら彷徨う

始めなければならない
ような気がした





自由詩 遠回り Copyright nonya 2012-03-29 18:50:46
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