病室にて
森の猫

ノックしてドアを開けると

安堵した君の顔が
見えた

どうだった手術?
家にいるときより晴れ晴れして

当たり前だよ
ずっと痛みを我慢してたんだからさ
そこのテーブルに歯、あるよ

虫歯の親知らずを抜くのにも
入院しなければならないほど
彼の心臓は麻酔にデリケートだ

数年前の気胸の時も
ギリギリのところで
使わないで済んだ

強運だね

懸念していた歯は
あっけないほど
ぽろりと抜けたらしい

持ってきた
あったかいお茶を
ストローで飲ませると

君は笑顔で若い看護師さん
二人と
車イスで術後の検査に
消えていった

小綺麗なホテルの一室のような
ひとり部屋には

ベビーピンクのカーテンに
やさしい日差しが
射し込んでいた





自由詩 病室にて Copyright 森の猫 2012-03-29 02:12:47
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