空白
rabbitfighter

ステージの上で
スポットライトすら浴びて
沈黙ですらなく
空白だった

沈黙は沈黙としてその場を満たす
沈黙はその時、立ち上る煙草の煙を暗喩している
時間よ止まれと、僕は暗闇に命じる
美しいじゃないか
まるでオーロラみたいで
誰にも予測もつかないのに
いくつもの思いがその場を満たす
僕の沈黙と
対峙する
それぞれの思いが
満ちている

ある若い詩人を追悼するための集まりで
ひとりの詩人がこう言った
パズルの中の、なにもない青空を形成する
一つのピースが欠けてしまった、と
それは、空白だ
その時僕は言わなかった
その空白を、空白のまま、なにも埋めないで、と
彼はその時、ほとんど触れていたのだ
僕のパズルの、もう随分昔に欠けてしまった
空白に
今日、君に言おう
その空白を、空白のまま、なにも埋めるな、と
空白は 満たされることなく、ずっとそのままで
一人でいる時みたいに
沈黙が僕たちを満たすから
どうか
ずっとそのままで


自由詩 空白 Copyright rabbitfighter 2012-03-24 10:40:42
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