ゆきのはら

こころについた傷は きえないの ぜったいに

雪が黒いアスファルトに吸い込まれてく

天からきたものたちは

天に還るなんて 嘘



こころについた傷はね 治っても 痕 消えないの

あなたは笑う そうやって傷跡をかばうみたいに

さらさらと 雪がやまない

指先が 痛いよ つめたくて 痛いよ



春の雪は 積もらない 雪

なんども繰り返しみてきたから知ってるの 私

積もることができないで

振り落ちて

すぐに消えてなくなる雪だから



もう 痛くないの

えぐれた痕は そのままだけど

もう 痛くないのよって

繰り返さないで

まだ 痛いくせに

うそつき まだ 痛いくせに



雪が 積もればいい

あなたの上に

雪が 積もればいい

わたしの上に



まっしろく まっしろく まっしろく まっしろく

むかしみた 雪のはら みたく

雪が積もれば いいのに


自由詩 ゆきのはら Copyright  2012-03-20 12:23:17
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