混線させる者
田代深子




蒼天つくだんだら赤白鉄塔の
てっぺんクレーン釣り針の
先端に
に脚ぐみしてぶらさがる
誰?
誰なんだあいつは

宙をささむけに削ぐ切望の伝播
を適当にちぎっては投げ掴んでは
いいかげんに結び
そら混線うちつづく地上の
の騒ぎは一顧だにせず笑いも
せずくそまじめに
ほら吹く北風にときおり
なやましげ眉を
寄せなにやらぶつくさ肩に
とまる雀らに愚痴っている
ようだ ああ久々に
メルロ=ポンティでも読もうか
か なぞ言っているわけではない
だろうがどうせたいしたことでは
あるまいし

けれど混線はあてどなく
うちつづく誰もクレーンの先
なんぞ見やしない掌に
降りる
混みいった記号あるかなしかの
なしかの明滅ばかり伏し目がちに
求めそれが誰の記号であっても
ほんとはかまやしないあやかし
だと気づいたり
気づかなかったり誰にあいつが
何を
降らせようと発信元不明も脈絡も
ない独白も告白も物語も
ああ久々にいい月が見れそうだ
なんぞ誰が送っても誰に
降ってもかまやせず着信拒否の
の掌に
むりやり呼出音を送りつけ

蒼天あてどない切望の伝播
を誰からか
誰からへ誰ともしれぬ誰か
か あいつが
適当にいいかげんに
そらもうひとつ



        2004.11.24



自由詩 混線させる者 Copyright 田代深子 2004-12-03 00:07:38
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