春の、匂い
かんな

意味もなく
きみの匂いを嗅いでいる
そこには
しあわせだとかふしあわせだとか
そういう類のものは
感じられない

春先のつめたい空気の中
アイスをほおばる
その口元
きすをするのにはちょうどよい
甘く溶けていく
ゆきのようだね

このままいっしょに
生きていこうか
それもまたいいねという軽はずみな
返答
に軽はずみな笑顔でこたえる
武器をもっているのは
どちらだろうか

かこからの逃げ足は
はやい方がいいようだと地図の
片隅にめもする
ボールペンのインクが残り少なで
そこに釘付けになる
視線と
交錯していくげんざい

今がいちばん大切だから
すぐにでも
抱きしめにいきたいですというメール
が届くころ
きみの腕の中でわたし
何も感じられない匂いをまとって
ただ生きている

それを何と呼ぶかって
きっと春風が運んでくるよ




自由詩 春の、匂い Copyright かんな 2012-03-19 19:19:39
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