欠陥
伊織

穴が開いたコップは
そのままでは使えません

ところが
その事実を告げると
大抵のガラスは大いに憤慨し、嘆き、喚き散らすのです
そして
綿くずだの
粘土だの
ビニールテープだの
とにかく何か持ちだして
穴を塞ごうとするのです

少しの間ならうまく行きます
しかし
やはりガラスには馴染まないのです

 ガラスの穴は
 一度溶かして、
 新しい形にして、
 そうして消してやるしかないのです

それはとてもとても苦しいことだから、
開いてしまった穴を呪うことを選ぶガラスが多いのです


残りのガラスですか?
ああ、
みずから
こなごなに
砕け散るんです。
それはもう、
凄いスピードで。


自由詩 欠陥 Copyright 伊織 2012-03-12 23:31:12
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