復興
灘 修二

私は夢の裏側にいる
私には夢が見えない
夢も私が見えない

いま
夢はあなたを見ている
夢が見ているのはあなただけ

夢は朽ちて落ちるひとひらの葉を拾う
夢がなければ、朽ちて、落ちて、絶える
舞え 木の葉よ
夢が見ているうちに

夢は荒んで凍え泣く風を包む
夢がなければ、荒んで、凍え、泣き崩れる
昇れ 風よ 
夢が駆け巡るうちに

夢は降って流れて迷う雨を救う
夢がなければ、降って、流れて、止まない
降れ 雨よ  
夢が許すままに

夢は揺れて叫んで割れる大地をしずめる
夢がなければ、口を奈落に開いたまま、怒り狂う
眠れ 大地よ 
夢が 緑のベールをかけるまで

夢は咲き乱れ騒ぐ花を鎮める
夢がなければ、乾いた炎のまま
香れ 花よ 
夢が 迎えにくるまで

あなたは向こう側の世界に住んでいる
私はこちら側の世界で眠っている

夢の扉は開かなくても
いつか夢に見られる日を夢見ている


自由詩 復興 Copyright 灘 修二 2012-03-11 16:34:45
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