ジオラマ
霜天

飛び出した街で
晴れない空が
灰色の夢に朝を待っている
電信柱の下の窓辺では
気象予報士が雨だというので
ブラウン管は沈黙したまま
喋らない

ここでは僕等の関係が希薄だというので
曲がり角に電話を置いて
ジリリンと鳴らしてみるけれど
誰もでない
空は繋がっていますか
遥かの国のニュースは
こんなにも届くのに


この街
電車が真っ直ぐに貫いた横を
乗り込む人、降りていく人、登下校の学生達
上り坂があって
下り坂がある
巨木の陰にそっと沈んでいく夕日は
この空では一番綺麗だろうと
この街以外にも一番は
いくらでもあるような


空は繋がっていますか
繋げられていますか、僕等
街路樹が震える季節に
天気予報は雨
いつかこの街にも
灰色の空で
街の影で


自由詩 ジオラマ Copyright 霜天 2004-12-02 01:32:51
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