水温
三奈

心地よい揺れと
生ぬるい水温

波にさらわれたコンタクトレンズ
ぼやけた視界がとらえたものは
降り注ぐ優しいひかりの雨

身動きが、とれない
とりたくもない

堕落していく心
その温もりが その優しさが 当たり前になっていた

何をやっても許されるなんて汚い事を
心の隅で思っていたの


この水温は、やがて冷める
深く深く墜ちていくほど
ひかりの雨は遠くなる

やっと気づいた溺れる魚
必死にもがいて上を目指した

空は遠い
近くて遠い

泣き続ける溺れる魚
その涙の行き着く先は
まだきっと、誰も知らない




自由詩 水温 Copyright 三奈 2012-03-03 00:40:30
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