金色かたつむり
灰泥軽茶

大学生ぐらいの小さな女の子が

自分と同じぐらいの大きさの

真っ赤なケースで

たぶん中身はそうであろう

金管楽器を背負って

のしのしと前から歩いてくる

普段は金ぴかの心地良いねぐらで

体を半分うずめて寝起きしているのかしらと

ぼうっと眺めていたら

女の子は

はにかんで嬉しそうな

口のはしから音符がこぼれ落ちそうな

笑みを見せながら通り過ぎていったので

振り返ると

真っ赤なケースがひとりで上下に揺れて

もごもごとこもりながらも

心地良い響きが聴こえてきた





自由詩 金色かたつむり Copyright 灰泥軽茶 2012-03-02 00:07:22
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