天駆ける
Seia


時間はスロウモーションのようにゆるく
  春の陽射しは暖かく降り注いでいた
  用事もなくただ布団を転がりながら
一人で過ごしている寂しさを紛らわせて


  何かに気付いたように起き上がり
 いじっていた携帯電話を投げ捨て刹那
   玄関へ向けて駆け出していた


   襖も引かず破りながら前へ進み

   ガラス戸を割り血だらけの体で

  玄関のドアを壊し外に飛び出した


   コンクリートの塀を蹴り倒して

   ここが二階だという事も忘れ

    何も無い空中を跳ねていく


   真っ直ぐ雲の向こうを見据え

   そのうち眼下に海原を迎えて


    足はいつしか溶けだして

    自我は更に加速していく


     時間が意識の後ろから


      足をもつれさせ


       ついて来る


       やがて体は


        桜花の


         様に


         散り


         消

          え



                  た


自由詩 天駆ける Copyright Seia 2012-02-29 15:58:15
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