ガラスの教室
吉岡ペペロ
ガラスだった
熱ければ溶けて
寒ければ縮んだ
落とせば割れるし
転がせばすぐ傷がついた
でもガラスは
中学のときかさばるし重たかったから
よくわざと教科書を忘れた
隣のともだちに見せて貰っていた
あまりに忘れてくるもんだから
ともだちは時々ぼくに見せるのを嫌がった
彼にはからだに不自由があった
スキー合宿には参加しなかった
おばさんにその話をした
その子スキー行かれへんのに、みんなと説明会聞いて、どんな気持ちやろねえ、
そんなこと考えたことなくて
ぼくは自分が恥ずかしくなった
ぼくはともだちにお土産を買った
どうせ素っ気ないだろうと覚悟して渡した
ところがとても喜んでくれた
なんどもなんどもお礼を言われた
ガラスだった
熱ければ溶けて
寒ければ縮んだ
落とせば割れるし
転がせばすぐ傷がついた
でもガラスは