あれから ー哀しみ
……とある蛙


突然見舞われる不幸は
偉そうなご高説によるものではなく
リアルな現実でしかない。
直面する哀しみは
勿体ぶった芸術作品の中にあるのではなく
喪失したという現実の中にある。
今見ることのできた笑顔を
直後に喪失してしまうことだ。

突然失ったことの現実が
余りに大きすぎると
感情が歪んでしまい
泣くことすら忘れてしまい
言葉を失う。

言葉はきっと魚に食われちまったのだ
言葉はきっと海鳥に喰われちまったのだ

その糞がまだ海岸線から
何キロにもわたって
ばらまかれていた。
日常生活の破片と心が
何キロにもわたって
散乱していた。

今瓦礫の山が堆く積まれた特殊な風景が
潮風に晒されている。


自由詩 あれから ー哀しみ Copyright ……とある蛙 2012-02-23 12:11:12
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