蛸足都市

はじまりは喉笛で、下から上まで続く階段が蜷局を巻きながら地球を埋めているときに、経血間際どもの血みどろは表される。
よくわからない管の奥から送り込まれる液体の炎がじゅうじゅう鳴いていて、ちぎれそうな腹部大動脈にフィルターが詰まる。
関数グラフ、教科書の隅から漏れ出すきのうのたばこのにおい、彼は下半身をさらけ出して部屋の中にうずくまり公式を暗唱。

「浮き沈み」
と言ったあいつの手足から生えた管は紫色で、
ボイドを咀嚼しながら自傷している。
ペーパーナイフで必死に押し当てた垢を一センチごとに郵便局長っぽく配置し、
送り届けられたパイプを吸うと穴だらけの皮膚から煙が漏れ出した。
居酒屋の光よりきらめく汚らしさであいつは急速的に収縮を始める。

瞬間的な突風に揺れる物干し竿のざわめき、
びくついたあいつの惨め、
管は幽霊のように電柱の帳を越えて、
机の引き出しの中の発信器が嘶く。

伝令は無数に降り注ぐ管だった
身動きの取れなくなるほどの声の雨
あいつは目玉に刺さったひとつからこちらに向かう叫びみたいな光を見た

誰も彼もがいないいないばぁを試そうと
管をたどり始める暮れ


自由詩 蛸足都市 Copyright  2012-02-21 19:16:18
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