一 二

独り暮らしに
慣れたのか
不安なのか

はたまた
楽しんでるのか
つまらないのか

休みの日の夜は
あてもなく
バイクでちょっとお出掛けをする

街から少し離れた
農道を走る
地元に帰る道
いつか来た道だ

走る途中で色んなものが見れる

フルメンバーで
サッカーできるくらい広い
コンビニや薬局の駐車場

眠そうな
おじさんが
一人で店番してる
セルフガソリンスタンド

ライトアップされた
ダムや工場

昔と今じゃ見えかたが違う
「きれい」とか「しょぼい」
とかではなく
どう違うのかと訊かれても
わからないけど
とにかく違う
何か違う
ただ景色を忘れただけかもしれない


意味も無く走っていると
寒いもんだから
テンションが下がってくる

すると誰かと喋りたくなるが
誰もいないので
一人二役で脳内会話をする


俺「わぁ~きれいな夜景~」

俺「深夜に残業している人の
命の灯火を見て何がきれいだ
どんな神経してんだ」


俺「いま見ている星の光は
何億年も昔の光…
せめてあの星が
いまもあってほしい…」

俺「所詮、お前の人生なんて
星のひとまたぎだ
余所の一等星の心配している暇あったら
いますぐバイク降りて歩いて
地球のCO2削減に貢献しろ」


だめだ、やめよう
更にテンション下がるどころか
悲しくなってきた…


そんな風に走っていると
気が付けば実家の前まで来ている

18年間も住めば
考えなくたって
下を向いてたって
気付けば着く

「いつだって帰れるんだ」
そう思うと安心した
何もせず帰る


子供のときの
誰にも話していない
嬉しいこと
悲しいこと
この道は全部、知っている

もし願い叶うのならば
いつかこの道を
子供の頃の
自分と歩きたい

そのときが
今日みたいな夜だったら
最高だ


自由詩Copyright 一 二 2012-02-20 05:45:15
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