カワグチタケシ

そして真白な夜が明けて
霜、サフランの開く音は
夜中積もった雪に吸い込まれて
窓の中まで届かない

光は反射しながら落ちてくる
雲、菫色の雲をわって
シナモンを焚くけむりが部屋に満ちて
まだ眠っている人にも届く

雪の上には小さな足跡があって
屋根の上には小さな足音がある
落葉松の林を抜けて
かささぎの声が近づいてくる

雪がしならせる枝から
金色の破片が降ってくる、朝

 


自由詩Copyright カワグチタケシ 2012-02-18 02:40:03
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