化学者
日野

オリヅルランの
白い筋を滑り落ちて
ぽたり
光が膨張する

鉛筆の先の消しゴムが
手のひらに当たるまで短く
執拗に書き続ける
うしろめたさ

黄色い空の雨
水たまりに流れ着く爪
かさりかさり重なり
なおも降り注ぐ雨
すべては子供のアンブレラ

私の組み上げた構造式が
ぽきりと折れ
瞬く間に崩れ
散らばる文字レタァ
掻き集めてる

無情な飛行機と同じくらい
すべての言葉を
飲み込んでいた
両手で覆っていた
悔恨と粘液にまみれた白目

思い出すはユーラシア
ただの化学反応?
止めるすべもなく
ついに爆発


自由詩 化学者 Copyright 日野 2012-02-18 00:15:30
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