『鎮魂』
あおい満月

窓をのぞくと
泉のそこからあふれでてくるもの
今にもこちら側に流れ込んでくる勢いで
そのみずの勢いの前に
不思議と平然と
佇むわたし

みずの勢いと
昂ろうとしている
何かが等しくなる刹那に
飛び込んでしまおう

わたしのなかで
何色ともつかぬものが
わたしを突き破ろうとしている

秒針のような平然のなかで
数枚かの
剥離されていく
うすい襞
やがて中心と精神を結ぶ一本の
細い糸が見える前に
みずを避けて流してしまおう

流れが
ちいさな動物になっていくように
ゆりかごのような
子守唄をうたいながら



二〇一二年二月一三日(月)


自由詩 『鎮魂』 Copyright あおい満月 2012-02-16 23:05:57
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