『鎮魂』
あおい満月
窓をのぞくと
泉のそこからあふれでてくるもの
今にもこちら側に流れ込んでくる勢いで
そのみずの勢いの前に
不思議と平然と
佇むわたし
みずの勢いと
昂ろうとしている
何かが等しくなる刹那に
飛び込んでしまおう
わたしのなかで
何色ともつかぬものが
わたしを突き破ろうとしている
秒針のような平然のなかで
数枚かの
剥離されていく
うすい襞
やがて中心と精神を結ぶ一本の
細い糸が見える前に
みずを避けて流してしまおう
流れが
ちいさな動物になっていくように
ゆりかごのような
子守唄をうたいながら
二〇一二年二月一三日(月)