なにもない
榊 慧

右の手の甲刃をあて「ないんです。」俺には才能ない、ないんです

白線をふつうに踏んでふつうです6Bくらいで塗りつぶしたい

アルコール度数が何でも終わらない何も何も終わらない何も

寂しさをのがれられぬと思いつつもうじきここに降り急ぐ雨

衿を立てそのまま寝るんだ次の日も立ってたならば王様おれね

コクトーの指先つかむことなどが出来るならばね死ぬくらいはさ

急がなくてもよいよって言いました待ってる間に咲く花はあるのか

初期の愛とか無いんだ多分だけど初期は済んでるからかなしいや

これからも何にも勝てる気がしない僕はひたすら真面目なだけです

チョモランマくらいの秘密普通にないだってだれも知りたくないから

緑とかなんかいろいろ着いているブロック塀お前も孤独だ

特にききたくもないこときいてくる人には視力しか教えない

赤色のあのとき着せた服をまだ着続けている案山子がひとり


短歌 なにもない Copyright 榊 慧 2012-02-12 10:14:00
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