エスケープ
こういった


無限に逃げ続けられるだろうか

螺旋階段を下る夢
最下層で光を浴びる誰かを
必死で呼んでいた

君が泣いていた日
「心に空いた穴が塞がらない。」


僕は左手で
君にネジを押し込んだ


有限の消耗品である認識から
逃げ続けられるだろうか

擦り切れそうな不安を
電球に翳して
肋骨に仕舞ったら

それで不眠症も
治った気に なったよ


偶然の幸福に心臓の鍵を
手渡して日常を襲う悲劇から
逃げ続けられるだろうか


白昼夢を詰め込んだ音楽に
耳を傾けている僕は
現実から
逃げ続けられるだろうか


溢れる言葉と想像で
縫い繋いだ希望と共に
逃げ続けられるだろうか





自由詩 エスケープ Copyright こういった 2012-02-12 00:05:17
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