いつか恋する
永乃ゆち
あなたから『終わりにしよう』その言葉待っているのに雨は止まない
飲み残しのコーヒーみたいにさっきまで貴方の座った席が冷めてく
『泣く時は誰かの前で泣くように』知っていたのに気付けば独り
「私たち運命共同体ね」って笑った事も朽ち果てた百合
「男ってバカよね」そんなありきたりの台詞で逃げた(もう恋はしない)
一人でも二人でいても電球は明々照らす繁華街にて
これからもきっと独りで泣くんだろう朝露に光る蜘蛛の巣がきれい
悲しさにまぶたを腫らしている朝もお腹は空くし会社へも行く
始発前白い世界の片隅で小さく芽吹いた木蓮の事
夜桜の花びら一枚飛んできて唇に触れた(いつか恋する)