プレーンな日々の秘法
within

殺してしまえと
唐突に言う私の
死後の粒子が
太陽に戻る日がやってきた。
すでに月はない。
粒子であるから
小さな点ではあるが、宇宙は
振動する紐
であるらしいので
小さな紐とも言えるかもしれない。けれども
いま現在私
は存命中なのであるから
君は間違えてるよ。
出番が早すぎた。
今日もせっせと
夜に冷蔵庫を覗いては
むさぼり続ける私は
まだ生き続ける気満々なのだから。


狂おしいほどの吹雪の中の
熱狂。
サンダンス、太陽をあがめよ。あがめよ、極北の
地下深く眠る古代種を。我、
何処より来たりしか。信じよ、
自らの感覚を。疑い
しは、
裏切りの所産。
留まらぬ旅人を引き止めることは叶わぬ。
それよりも自ら
安住の住処を捨てよ。温もりを
捨てねばならない
ときが来る。それは近くも
遠くもなく、ある日
割り込んでくるのだから。


半ば捨て鉢で、いや、
捨て切って、
欲を絶つ、3日前。
美しさの欠片もなく
身近な人たちを
呪いだす。
腹が減り、身悶え
ながら、解き放つ自我。欲の塊と
成り果てるのか、と問う
までもなく飯を
炊く。如何に謀ろうと
取り繕おうとも
全て
中断。隙間から覗くのは、子供たち。
食事をとる子供たち。
狂ったのは
己のみ。子供ではない己のみ。
嘔吐する。それは全て不必要だったもの。
求めんと欲するは何?
展開される己の数学、音楽、歴史、地質学。奪われた
空を求めんと旅立つ鳥たちを見送る。


冬に生まれたからって、
冬が好きなわけではない。
生まれる季節は選べない。
選べないことが多すぎて、
行き詰まる。行き詰まり、
鼻づまる。
粘液が私の呼吸を
妨げる。
窒息。
身体が痙攣する。制御できなくなった棒に
成す術もない人類の儚さを
忘れてはいけない。
裁判官が判決を読み上げる。
耳を貸さない被告達を制することも
なく、談笑する権力の末端は
麻痺している。セカイがね、
セカイと言っても大げさな
ものじゃなんだ。
安心なセカイ。
そんな幻にすがりつくのはやめよう。
冷蔵庫が空っぽ
になっても、
明日買出しにいけばいいじゃないか。
そんなふうに言う奴が、全く信用
できない



自由詩 プレーンな日々の秘法 Copyright within 2012-02-11 07:08:17
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