後ろ姿
浩一

どちらへとひと言尋ねると
ちょっととひと言返ってくる
誰をとまたひと言尋ねると
ちょっととまたひと言返ってくる
返ってくるんだが
その後のひと言を持ち合わせない僕なのである

見あげれば空である
見おろせば足なんだがこの足は
別段どこにも行きたくない風な足なのである
爪先からたどって前を視ると後ろ姿である
しだいに小さくなってゆく彼女である

僕はちょっと
ちょっとという名の方角や人物を想ってみる


自由詩 後ろ姿 Copyright 浩一 2012-02-08 17:00:27
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