『私事』
木製金属





30分だけ私の側にいて
明日の仕事に支障でないくらいで
いいから

30分だけ私を抱きしめて
ねぇ
ほつれかけた糸が
あなたのその手を探してる

コツコツコツコツコツコツコツコツ
今まで地道に生きてきて
見えないようにすり減った
そんな私の掴んだものが
すべて嘘っぱちって言うのは
あまりに悲しすぎるでしょう?

私の肩を抱いて
この場所でよかったって言って
目に見えないモノが
心の奥をつかんでいく

どうしてもうまくいかない夜
どうしてもうまく届かない声
いくつもの歳を重ねて
私は今 生きている

だから

30分だけ私の側にいて
明日の仕事に支障でないくらいで
いいから

30分だけ私を抱きしめて
ねぇ
破りかけた嘘が
本当の声になる前に


自由詩 『私事』 Copyright 木製金属 2012-02-07 23:36:53
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