2007年の罪
番田 

友達を失ったような気がする。僕は寂しかった。
外に出ては、時の流れの中から帰ってきた。

フランス。
その地平を思い出す。
あれは離着陸の時だった。
平面的な畑がどこまでも広がっていた。

ポンピドーセンターでカンディンスキーの回顧展を見て、パンを探して歩き回っていた。カフェでコーヒーを飲んでいる暇もなかった。
この街の至福はこの街の住民にしか享受できはしないのだろう。
そんな気がした。
あの頃の僕は失業中だった。
何かを通り過ぎる人並みの中で探していたような気もした。
同時に、何かを失わされているかのようにも思えた。
セーヌ川にかかる橋の上でサンドイッチを食べていると、知らない子連れの人に驚かされた。

きづけば夜。
ドミに戻った。
僕は必死で英語を使った。
そんな僕をアメリカ人たちは小馬鹿にして笑った。
だから、僕はイタリア人とばかり話しをしていた。



散文(批評随筆小説等) 2007年の罪 Copyright 番田  2012-01-30 14:35:53
notebook Home 戻る