カンボジア旅行記2
チカモチ

朝、昨日のうさんくさい日本語を話す男性がゲストハウスまで迎えに来てくれました。
「あなた、これから僕のゲストハウスに来て、朝食食べる」とのこと。言われるがままに本来のゲストハウスまでバイクで行き、朝食のヌードルをごちそうになりました。

ヌードルを食している間、うさんくさい男は地図を広げ、旅行のプランをたててくれました。
「1日目、午前はアンコールワットをまわる。午後はそのまわりの遺跡をまわる。2日目、朝5時に起きてアンコールワットの朝日をみる。その後アンコール・トムに行く。3日目、バンテアイ・スレイとプノン・クーレンに行く。ここは遠いからトゥクトゥクじゃなくてバイクね。4日目、ベンメリアに行く。ここはもっと遠いからバイクじゃなくて車ね。5日目、プリア・ヴィヘアに行く。ここも遠いから車ね。これら5日間、全部で500ドル。ただしチケット代は別ね」

うんざりしました。やっぱりこういうことになるのか、と。実際、ここに来る前まではゲストハウスのツアーデスクをかなり当てにしていました。適当なドライバーを紹介してもらい、彼が案内してくれたようなルートでまわろうとは考えていたのですが、ちょっと想像していたよりも高すぎます。あぁ、でも改めて自分で探して変なドライバーにあたって闇の世界に葬られても嫌だし、旅行会社を探しにいくのも面倒くさいし…結局もういいやという気持ちになり、概ね彼のプランに呑まれることにしました。宿代も安いし、貧しいカンボジア人に寄与したと思えばいいではないか。明らかに彼よりも私のほうが金を持っている。

後から街中のツアーデスクで知ったことですが、彼が提示した額は、実際にかかる費用の2倍くらいでした。なので、現地ツアーの相場で考えると多分1万5千円くらいぼったくられたかと思います。悔しい気持ちがないわけではないのですが、まぁそうやって生活を営まなければならない人たちもいるわけで、観光は楽しかったし、ひったくられたり何かされたりしたわけでもないので、それでいいかなという結論に最終的には落ち着きました。
そんな風に私の考え方はわりといい加減というか、無理やり自己正当化でおさめる節があるので、本来一人旅には向いてないのだと思います。好きで向いていたら一番いいのですが、うまくいかないものですな。

話はそれましたが、とにかくそんな感じで私の旅行スケジュールは大方決まりました。うさんくさい男は早速ドライバーを調達し、「今日は彼がアンコールワットに連れてってくれる。チケットは3日間のやつを買ってね」と申しつけました。


紹介されたドライバーは25歳で、喋り方がとてもやさしく、見るからに女性好きで性欲がありそうな感じでした。(実際、彼は職務中もしょっちゅう女の子と電話していました。)頭も悪そうだし、個人的にはあまり好きなタイプではなかったのですが、まさかドライバーが生理的にだめなので替えてくれとは言えますまい。おとなしく彼の背中を眺めながら街を走ることにしました。

初めてみるアンコールワットは、とにかくすごいとしか言い表せません。巨大で、至るところに手の込んだ彫刻が施されており、ここを築くのにどれだけの年月と人手を要したのだろうと考えると途方もない気持ちになりました。アンコールワット以外にも周辺に遺跡がたくさん散在しており、色男のドライバーに案内されるがままに色々とみてまわったのですが、正直、アンコールワット以外はどれも似たようなものに思えました。(どれもすごいのですが)。

ううん、なんだかすごすぎてうまく飲み込めません。元来歴史や美術に疎いという性分も手伝い、後から思えばこの時期はアンコールワットの巨大さにすっかり舞い上がってしまい、あまり味わえていませんでした。

しかし暑い。カンボジアに冬はないらしく、1月の平均気温は30度を超えるそうです。遺跡は階段が多いので、歩いているだけでどんどん体力を消耗してくたくたになりました。カンボジアへは若くて体力のある時期に行かれることをおすすめします。

いい加減疲れたところで色男は再度アンコールワットの前でトゥクトゥクを止め、「これからサンセットだからみてきてよ。僕はここで待ってるから」と言いました。サンセット! そういえばうさんくさい男がそんなことを言っていたような気がするな。再度アンコールワットに入り、夕日が沈む様子を40分くらいかけて眺めていました。とても素敵でした。

日の入り頃にゲストハウスに戻り、シャワーを浴びて夕飯も食べずに眠りました。ここではホットな湯がでたのでほっとしました。疲れた…が、明日は朝日をみるために5時に起きなければ…。


散文(批評随筆小説等) カンボジア旅行記2 Copyright チカモチ 2012-01-28 12:57:08
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