自己憐憫ショウ
ただのみきや

耳をふさいでも
世界中から聞こえてくる
叫び声
無視しても
聞こえないふりをしても
脳の中で蛇口をひねったように

これ見よがしに行進する
灰色悲色めいた
叫び声
払い落としても
つばを吐きかけても
軍隊アリのように食い尽くそうと

ここにわたしのもっとも偉大な
悲しみのための祭壇を築こう
絶えず涙の雨で煙るように
絶えず流し目の薄幸へ花が手向けられるように
自分を否定している自分を否定し直し尚
ことばの無知で幾度も幾度も罰そう
不条理の血の海でもがいている

幼い自我の自慰のために

ああ
なんとおめでたく
幸福めいた悲しみか
なんと美しくちりばめられた
不幸のピアスにネックレス
架空の棺に納められた
冷凍保存の痛みたち
派手なブラスで
葬送行進曲

汚物でとりかこめ
さすればちょっとは
きれいに見える


自由詩 自己憐憫ショウ Copyright ただのみきや 2012-01-27 22:46:40
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