サイコメトラー・オナニ
ザ・凹凸目目
サイコメトラーに見透かされるのを恐れて、オナニーしない人はいない。
もし見透かしたとしても、あのときの気持よかった私と同化してくれれば良いと思う。
股ぐらを擦りつける獣のような私を、客観的に見つめられるのは嫌だ。
映画の中のサイコメトラーは殺人者に触れたとき、
犯されて殺された少女に同化して泣き叫び、
快楽の中で殺人を犯した犯人の気持ちよさに同化するようなことはしない。
人は何をするときも、
自分を見つめる客観的な視点を持っていて、
その神の視点の方に、サイコメトラーは同化するということになっている。
それは超能力を売り物にする物語の語り手の、
せめてもの道徳心だ。
みんなもオナニイするでしょう(註)
本当のサイコメトラーは、見透かした相手の、そのときの感情の側に立つ。
股ぐらを擦りつけるときのその気持ちよさを、
サイコメトラーは追体験する。
註 2012年1月24日、起きると既に出勤時間は過ぎており、前夜に降り積もった雪が凍結する路面でスリップしながら自転車で大学に向かった。試験監督の仕事の間、無理やり拭い去った眠気の再発を懸念して、男女約六十名の大学三年生の顔をつぶさに見ていると、陽光が教室内を満たしていくのを感じた。彼らには誰の目も気にせず、安らかな気持ちで自慰に耽けって欲しい。