沈黙
ブロッコリーマン

冷却用ファンの駆動音がとても耳障りだ。
滑り込んだまま息を止めた羽虫のざわめき。
そして鼓膜に貼りついた薄笑い、
揺れる蛍光灯に磨耗していく孤独。
羽虫はまたそこに集まって、
わたしの目に、その卵管を刺す。

世界に純粋な沈黙などない
取り囲む人々の息づかいに
孤独は少しずつ崩れていく
空気すら震わない、小さな声で
引きこもって泣いているのだ

引き攣った口元に、カーテンコールの雨
終わらない沈黙に、わたしの目は血を流す
指差されるのはいつも、足元に広がる血だまり
そこには命しかないのに、
わたしよりも随分と饒舌なものだから
わたしよりも大切にされるのでしょうか

誰にも、言えない、秘密があった。

殺したくなるくらい好きな人がいたということ
その口を縫い合わせて
駆けずりまわる言葉を押しつぶして
口移しで与えた全ては、確かに沈黙だった。




奇数行:ブロッコリーマン
偶数行:山中烏流


自由詩 沈黙 Copyright ブロッコリーマン 2012-01-21 01:55:14
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