だれもが知っている
るるりら

「北極星のあたりを中心に飛んでいるのは
アルビノの不死鳥だよ
青白く燃えながら飛んでいるね」
もし 隣の人が突然白昼堂々北の空を指差し
そう言ったら すこし驚くかもしれない
けれど、人と不死鳥は親友だ

白に見える その翼 
けれど 実のところは
炎のように 無数の色をしている不死の鳥
想像上の鳥といわれているけれど
人は たしかに不死鳥と話ができる瞬間がある

人の思いほど複雑でシンプルなものはないから
人には たしかに不死鳥と話ができる瞬間がある
誠意を尽くしても繋がらない人どうしの かりそめのつきあいの道を
歩くしかなく歩いている そんなときだったり
滔々と流れる大河の流れに翻弄され 無我夢中のさなかであったり
たとえばそれは 燃えて白骨化している人の骨の煙に 
心まで燻されたときかもしれない
人は儚く悲しく切なくあっけなく
まさかの坂の頂で 不死鳥と話ができる瞬間がくることがある

困難な選択の逡巡のさなかに ひらと
不死鳥の羽のようなものが舞い降りて 人は そのとき自由だ

人間同士は 憎み合うけれど
ちょっとした言葉の行き違いが元で憎悪をたぎらせ
お互いを傷つけあい なにひとつたしかなモノなどなく
信じあえることは 稀で、だからこそ
大切な人ほど うしなったときの苦しみは大きく
それが元でさらに憎悪を増幅せしめることがある それでも ふと

天高く鳳凰かなにかのように
翻る翼を どんな人も その心の内に持っていて
人はまるで奇跡かなにかのように 迷いのない眼で
すべてを愛す
そういう宿命なの
人というものは
お互いがお互いを慈しんでいるというのに
傷つけあいながら おなじ自転をしているね



北極星を旋廻する 
不死鳥が頭上にあることを
人は だれしも 知らないふりをしているけれど
だれもが知っている


自由詩 だれもが知っている Copyright るるりら 2012-01-13 23:04:19
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