『古い写真』
あおい満月

ことばにならないものが
渦を巻いている
それはある期待なのか
失望なのか
わからない

明滅する影と光が時間のように
わたしの周りをぐるぐるとめぐる
その速さに刹那、
ついていけなくて
倒れそうになる

このこころを支えて欲しいと
街の流れが
遮るその手

いつも、
やさしさやぬくもりの前に鍵がある
あなたが並べた幾つもの項目を
埋める事が出来なくて立ち竦む

父よ、
モノクロのぬくもりよ

わたしはただ、
振り返ることしか出来なくて
折り畳んだ古い写真
捨てることが
もしも出来たなら、
幸せの花が咲く場所へ行けるのだろうか

過去と向き合う
それこそが只の
夢想なら
わたしはまだ
あなたの腕に抱かれながら泣いている
幼子

歩いても歩けない



                     二〇一二年一月一二日(木)


自由詩 『古い写真』 Copyright あおい満月 2012-01-12 20:56:30
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