めがね
加藤

耳のうしろに当たる変な感触と
目頭に感じる重み
使い物にならないこの目に景色を見せてくれる
人の発明 技術がありがたい
使っている最中ちょっともどかしく感じる時があったり
なぜ視力が悪いのかと どうにもできない事に悔しがったりするけれど

自分の視力が下がって行った時は やはりなんとなくさびしかった
肉眼ではもう きれいに見えないと思うと

十代後半に差しかかった頃は
私はなんだかいつも悲しい気分でいた
見えるものさえ見たくない気分の時がしょっちゅうあったけれど
そんな時めがねを外すと 思いのほか すっきりした記憶がある

見えるものさえ 見えないままなら
意外とささいな事に 苦しみをみいださなかった
そうして空を見上げると
季節も分からないくらいにぼやけて
そういう小さな瞬間に救われて
今の自分へとなんとかつながったような気がしている

そうは言っても最近は視力回復の手術があったり
そもそもめがね自体の不便さもかなりあったりするから
そろそろ卒業しようかと迷いどうなるのかは分からない
それでもまだ 当分はめがねにはお世話になりそうだ


自由詩 めがね Copyright 加藤 2012-01-03 21:49:44
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