グルーヴィン棘
komasen333

「 こんなはずじゃなかった 」って    
初めからわかっていたくせに
何を今さら言っているのって思うのも、その掌での手拍子に過ぎないのかな



狂おしく流れていたような風の日々に
少し軋みが目立ち始めたようだねと、すれる音を暗に陽に冗談めかして指していたその涼やか



それまでの私なら『 よく言うよ 』なんて言い返したり
『 そんなことないよ 』なんて可愛くまとめることもできていた    けれど



そのとき、気づいてしまった
その言葉の端々から醸しだされている温もりのような趣の影にひっそりと隠れている棘に



少しずつさり気なく  とろうとしていることに
少しずつさり気なく  混ぜ込んでいこうとしていることに



そのとき、嫌になったの
自分に

今まで何も知らずに
誰にでもなく 幸せばかりで申し訳ないなあ とさえ思っていた自分の視界不良具合に

今まで何も知らずに
その涼やかから発せられる
一言一言を丁寧に噛みしめては浮かんでいきそうになっていた自分の楽観さに



「 こんなはずじゃなかった 」って、その涼やかな眼差しが述べたとき
すべてとは言わないけど
ある程度
わかっている自分でいてよかったと思うのも含めて その掌での手の鳴る方へだったのかな


自由詩 グルーヴィン棘 Copyright komasen333 2012-01-01 23:47:53
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